デスクトップパソコンの電源を入れても起動途中で勝手に電源が切れてしまうと言う御相談がありました。

電源が切れるタイミングとしては、Windowsを起動していますの所や、画面にアイコンが並んだ辺りで起きる事が多いとのことでした。

事前にメーカーに相談したら、メーカーが搭載しているハードウェアチェックの機能を使用するように言われたので行なってみたが、CPU、HDD、メモリ、その他のハードウェアには異常が検知されず、メーカー曰く
「設定やソフトウェアなどシステムの問題である可能性が高いので、データのバックアップを取った上でリカバリをお勧めします」
と言われたとの事。

データのバックアップやリカバリも御自身で行なえる自信が無いそうで、特に何か設定を変えたわけでもなく、ソフトのインストールをしたわけでもなかったため、本当にハードウェアに異常がないのかも疑問に思ったそうで御相談を頂きました。

起動→勝手に切れる、を何度も繰り返すのは避けるべき事ですが、とりあえず状況を見たいので電源を入れてみました。
すると、デスクトップにアイコンが並ぶ辺りで電源が勝手に切れます。
再起動する訳でもなく、停止のエラーが表示される訳でもなく、本当に電源が切れます。

メーカーから言われたハードウェアチェックでは問題が出なかったので可能性は低そうですが、こういった場合に疑わしいのはCPUなどが熱暴走を起こし勝手に切れると言うケースもありえますので、筐体を開け、CPUクーラーが外れかけていたり、冷却ファンの回転が遅くなっていないかなども確認し、それほど溜まってはいませんでしたがCPUクーラー、冷却ファン、そしてマザーボード上の埃も除去しました。

念のために、別のOSをUSBから起動しても電源が勝手に落ちるかどうかを試してみましたら、やはりWindowsが起動完了するくらいのタイミングで電源が切れます。

そのままもう一度電源ボタンを押してみたのですが、今度は電源自体が入りません。
この時点でだいたいの見当がつきました。

御客様に
「勝手に切れた後は、電源コードを抜いて暫く放置しないと電源が入らなかったりしませんか?」
と聞いてみると
「コンセントを抜いてパソコンごと移動したりして、別のコンセントに差したら電源が入ったりしていたので、暫く放置した感じなのかも知れません」
との事でした。

そこで電源コードを抜いて電源ボタンを何度か押してから、電源コードを接続すると、すぐに電源が入るようになる事が分かりました。
やはり起動中に勝手に電源が切れる現象は変わらないのですが、放電すると電源が入るようになるという事です。
マザーボード上にあるコンデンサの破損は見られず、放電する事で電源が入るようになるという事は、かなりの高確率で電源ユニットの故障と思われます。

それをお伝えしてみると、実は長期保証に加入しておられて、まだ1年以上も保証期間が残っているとの事でした。
電源ユニットの修理や交換は比較的簡単ではありますが、こちらで勝手に行なってしまうと、その時点でメーカー保証が受けられなくなるため、メーカー修理に出した方が良いでしょうとお伝えしました。

念の為、内蔵されていたHDDもチェックしましたが特に問題は無さそうでしたので
「電源が切れた後は放電しないと電源が入らなくなるので、電源ユニットの故障の可能性がかなり高いと業者に言われた。特に問題が無い限りHDDの中身は消さないで欲しい。消さねばならない場合は一旦連絡するように」
と言ってメーカー修理に出すようアドバイスさせて頂きました。

数日後に
「電源ユニットの交換だけで直ったようで、HDDの中身もそのままで無事に戻ってきて問題無く普通に動いています」
と御連絡を頂きました。

メーカーが提供しているハードウェアチェックのプログラムでは、こういった電源ユニットの故障までは分かりません。そういったチェックで判別できる異常以外は、メーカー側もハードウェアには問題ありません、と言い切ってしまうケースも多いです。
そして、電源ユニットだけの故障でパソコンが動かなくなっているというケースも割と多くあるのです。