パソコンの動作がおかしいと思ったら、完全シャットダウンして電源コンセントを抜き、ノートPCの場合にはバッテリも取り外した上で、つまり電源供給がされない状態にして暫く放置すると動作が正常に戻る場合があります。
かなり昔から言われている事で、簡単に試せる方法の一つです。

ところが、こんな方法で直る訳がないと思い込んで試す事すらしないという方も実は多いです。
失礼ながら、パソコンに詳しいと自負している方でも、そんな方法で直るわけが無いと信じている方は非常に多く、そういったアドバイスをすると馬鹿にされていると誤解してしまう方もいらっしゃいます。
(勿論、素直に試して頂ける方も非常に多いですが)

そんなアナログ的な方法でデジタル製品のパソコンが直る筈がないという気持ちも分からないでもないのですが、パソコンだって内部は極めてアナログ的なパーツだらけです。
動作がデジタルなだけであって、パソコンそのものはアナログな製品と言ってもおかしくありません。

内部がアナログパーツだらけなので、電源が供給されない状態にして放置する事により、内部に溜まっている余計な電気が放電されて、あっさりと解決するトラブルも意外と多いのです。

実際にあったトラブル例としては、電源自体が入らない、真っ暗な画面にマウスカーソルだけしか表示されない、Windowsの起動自体が異常なくらい遅い、Windowsは起動し見慣れたデスクトップ画面になるものの異常に動作が遅くて忘れた頃に起動したソフトが開く、シャットダウンに異常なくらいの時間がかかる、急に電源が落ちる、などなど様々です。

本当にハード的に壊れている場合やソフト的な不具合の場合もありますので、それで絶対に直るとは言い切れませんが、放電するだけという簡単な方法ですので試してみる価値はあります。

Windows7までであれば、まずは普通にシャットダウンします。
Windows8以降であれば、SHIFTキーを押しながらシャットダウンを行ないます。
シャットダウンに異常に時間がかかる状態であっても、とりあえず我慢して下さい。
何時間経ってもシャットダウンが完了しないというケースもあり、その場合はHDDにアクセスしていない時を見計らって電源を強制的に切るしかない場合もありますが、危険を伴うイチかバチかの行為ですのでお薦めはしません。自己責任でお願いします。

とりあえずシャットダウンできたら電源コードを抜きます。
ノートPCの場合はバッテリも取り外します。

人によってはそのまま30分とか1時間放置などと言う方もいますが、そんなに待つのも大変ですし、実はその程度だと改善されないケースも割と多いです。
なので、電源が供給されない状態のままで、電源スイッチを10回程度押して、最後に5~10秒程押しっぱなしにします。電源スイッチから指を離し、あらためて1分程放置します。
これで放電ができることが大半です。
内部のボタン電池も抜かないとダメと言う方もおり、実際にそういうケースもあるにはあるのですが、大半の場合はそこまでしなくても大丈夫です。

その後、バッテリや電源コードを取り付けて起動してみて下さい。
これだけで正常に動くようになる事が意外とあります。

タブレットPCやノートPCの一部にはバッテリが取り外せない物もあります。
こういった機種の場合、放電の代わりになるようなリセットスイッチが用意されている場合があります。多くは細いピンを刺して中にあるスイッチを押すタイプですが、不用意に押してしまうとBIOS(もしくはUEFIの)一部の設定がリセットされる物もありますので取扱説明書を良く読んだり、メーカーに確認した方が安全です。

メーカーに修理に出したら異常無しと言われて戻ってきたという話をたまに聞きます。
これは輸送中には電源が外されているので、メーカーが確認する時には自然に放電されて正常に戻っていたと言うケースが考えられます。
しかし、家で使っていると頻発するという場合、PCの利用環境に問題がある事も考えられます。電源コンセントがタコ足になっており電圧が非常に不安定というケースもあり、壁のコンセントに直接電源コードを刺してみたら安定して動くようになったこともあります。(配電方法や配電設備によっては駄目な場合もありますが)

余談ですが、パソコン以外でも放電する事によって改善する機器が多くあります。
様々な周辺機器は勿論、ルータやONUなどの通信機器も物によっては効果があります。
また、今はバッテリが取り外せない機種も非常に多いですが、スマートフォンなどでも改善するケースがあります。
あと、最近のテレビやHDDレコーダなども中身はコンピュータですので、放電だけでトラブルが解消するケースもあります。(ただし、多くの設定や録画予約も消える事が殆どなので御注意下さい)